GPS波を用いた大気異常伝搬と地震との関連解析
研究者 高橋 恭平
地震が起きる前に電離層において異常が発生しているとの報告がある。
そこで、本研究では電離層を通過してくるGPS波を観測し、電離層異常を見つけることで地震予知を目指す。

GPS波は図のように地球の上層にある電離層を通過してくる。
また、電波の伝搬速度は電離層の総電子数(VTEC)によって変化する。
もし、電離層になんらかの異常があれば、GPSの位置情報に支障を来すと思われる。
位置情報を観測し続けて、平均値を出し、平均値から大きくずれた場合、地震の前兆現象ではないかと考えている。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の前に観測された異常を以下に示す。

このグラフは原点と定めた場所からどの程度離れた位置をGPSが出力してきたかを距離に換算したものである。
灰色の線が平均値で、赤線が観測した実際のデータ、緑の線が3σ線となる。
統計学上全ての事象を10000としたときに3σ線を超えるのはわずか26である。
よって、3σ線を超えることは非常に珍しいことであり、グラフの13:00や17:00付近は異常と考えることができる。