地震予知を目指した広帯域異常電波伝搬観測 |
研究者 吉澤 将一 |
|
1 地震の前兆を捉える
地震が発生する前には、地殻内で応力が働いて地殻の破壊の準備が進んでいて、破壊寸前になった岩石からは、電流が発生しているということが知られている。
電流が発生していれば電磁波も発生しているため、地震発生の前に発生する様々な電磁気的な現象を捉えることができれば、地震の前兆を捉えることができる。
方法としては次の方法がある。
・地殻内部から出てくる電磁波(自然放射波)を直接捉える方法
・既存電波の観測によって、地震に伴い、伝搬特性にでる以上を間接的に捉える方法
本研究では後者の既存電波を利用する方法が用いている。
2 観測データの解析
次に観測データの例を挙げる。
図1 観測データ(縦軸:電界強度、横軸:時刻)
この波形では6:00頃と10:00頃に2つの落ち込みが見られる。これは異常電波伝搬が起きているのではないかと考えられる。人間が見るとなんとなくわかるが、これを統計処理による解析で判別できないかということを考える。
図1に点線で表されているのが3σ法という統計処理の方法である。異常電波伝搬として見られるところはこの点線を越えている。そのため、異常を判定するうえで3σ法は、有効な方法の1つと考えられる。
ここでは3σ法を例に挙げたが、他にもいろいろな方法があるし、異常電波伝搬と地震との関連についても検証していくことを目的として研究を行っている。