球波動関数を用いた近傍電磁界解析システムの構築及び評価
研究者 篠原 尚人

 今年度卒業してしまう渡辺さんの研究(3次元結合解法)の後を引き継ぐために2次元の結合解法について研究しています。

1. 結合解法とは

 「結合解法」とは本研究室で考案した独自の手法であり、点整合法を用いた散乱体の解析で今まで行われていたFDTD法による手法と波動方程式による手法のそれぞれの利点を併せ持った手法である。
 本手法の利点として次のことがあげられる。

 1)複雑な形状、多様な媒質の解析が可能
   2)少ない計算コストで遠方の電磁解析が可能

 従来方法ではアンテナの電界及び磁界を測定する時にアンテナと計測用プローブ間の距離を3mもしくは10mほど離して遠方界を測定しています。この際に周囲に障害物がないような空間や電波暗室を必要とします。

 しかし、本手法では近傍界から遠方界に変換するという方法をとっているのでアンテナと計測用プローブ間の距離をかなり短くすることが可能であり、電波暗室や周囲の障害物に関わらずに測定することができます。

2. 実験結果

従来方法と本手法を用いた実験結果を比較すると以下のようになりなす。

   
図1:実験結果
   
[青線 : 従来方法、赤線 : 本手法]

 上図は従来方法と本手法を電力値で規格化し、比較したグラフです。
この実験結果を見ると、従来方法と本手法で大きな違いは見られないことが分かります。今後は現在の実験装置の改良や本手法の3次元化を確立させることを目標に研究していきたいと考えています。