近傍電磁界を用いた直線偏波アンテナ放射パターン推定法
研究者 渡辺 博紀

卒業された河野先輩の後を継ぎ、結合解法について研究しています。
結合解法理論の概要は最初のページに載っているため、省略します。

1 実験装置の自動化

 河野先輩とともに結合解法の理論(2次元)に正当性があるのか検証するため、従来方法(遠方界を直接測定する手法)との比較実験を行ってきました。しかし、 結合解法実験(測定値の記録、被測定アンテナの角度の調節など)は実験者が手動で行っていたため、どうしても測定結果に誤差が生じていました。
そこで、実験システムを自動化し、実験精度の向上を図りました。

○自動化実験システム

上の図のような簡単なシステムを作りました。被測定アンテナの回転はステッピングモータを用い、ワンチップマイコン(H8/3048F)を使って制御させています。システム全体はPCでVisualC++を用いて制御し、測定結果を即座に数値計算させ、グラフ化するように設定しています。

○実験方法

被測定アンテナ:八素子八木アンテナ
受信アンテナ :半波長ダイポールアンテナ

ネットワークアナライザから2.45GHZの電磁波を発生させ、そのときの電界強度を半波長ダイポールアンテナで測定します。一定角度アンテナを回転させ、その角度での値を測定し、また回転させる。アンテナが一周したら終了するようにしました。
その後、数値計算して放射指向性を求め、同じく従来方法で同様の実験を行い、その結果を比較します。

○実験結果

左図が測定値を電力値に変換し、規格化した放射パターン、
右図が左図の値をdB値で表した放射パターンを示しています。

これを見ると本手法と従来方法との結果にそれほど違いは見られないことが分かります (これにより、本手法の正当性が確認できる)。自動化することにより、手動で実験を行っていたときと比べてアンテナ回転角度が 正確になり、回転角度の誤差はほとんど無くなりました。また、実験時間も10分もあればできるようになりました。

  2 結合解法理論の3次元化

今までの結合解法理論は2次元での理論だったので、今後はこれを発展させ、3次元での理論を作ることを目標に研究して います。ですが、すぐに3次元化というのは難しいため、球座標系に関する基本的なことを現在勉強しています。以下にプログラム結果の一つを載せます。

半径aの完全導体球に正のz軸方向へ平面波を入射させたときの散乱パターン

*値は電界値で、規格化した結果を表します