伝送線路解析法とFDTD法を組み合わせた線状アンテナ放射解析
研究者 中山 大輔

<研究テーマ>
  1. 分布定数線路の電圧・電流解析
  2. FDTD法を用いた電磁界解析
  3. 線状アンテナの放射解析    ←(これが本筋)
<概要>
  1. 分布定数線路の電圧・電流解析

     図1.1は通信系の教科書に登場する“分布定数線路の等価回路”である。この図1をリープフロッグアルゴリズムに基づいて変換したものが図2である。変換とは具体的に述べれば、図1において成り立つ回路方程式に差分化を施すことである。

    図1.2にあるように、線路終端には負荷が接続されており、この値を変化させることにより線路中を伝搬する電圧・電流の反射形態が様々に変化する。本手法では、その分布を時間領域において解析できる。

     〜現段階で解析可能なモデル〜



  2. FDTD法を用いた電磁界解析
     FDTD法とは電磁界解析の手法の一つであり、本研究室で行われているシミュレーションのベースとなっているものである。これに関しての説明は他のメンバーの研究紹介を参考にしていただきたい。


  3. 線状アンテナの放射解析
     現在、このテーマが研究の本筋となっている。
     本手法では、上記において説明した二つの手法を組み合わせたアンテナ解析を行う。FDTD法のみでもアンテナ解析を行うことは可能である。“FDTD法のみの解析”と“本手法”の違いは以下にある。



     左図は3次元FDTD空間中のダイポールアンテナモデルである。図中の立方体はunit cellと呼ばれるものである。

    本手法におけるキーポイントは、「アンテナ上の電圧・電流分布の変化をどの ようにして自由空間に伝えるか」ということにある。








    *本手法は既にある程度の成果が得られているものの、まだ厳密性という点では
     欠けているところがある。現在、正当性の証明を行っているところである。