FDTD法を用いた無限周期形状回折格子の解析
研究者 狩原 睦

無限周期形状回折格子

無限周期形状回折格子とは?

 

回折格子とは、光の回折現象を利用して入射光を分解する光素子です。応用として、分光器、ホログラフィー、またはCDDVD等も回折格子と言えます。

本研究では、光を電磁界と考えて、下図のような同じ形状が周期的に無限に続く回折格子を、FDTD法を使ってシミュレーションします。実際には、回折格子の大きさは有限ですが、光の波長(nm単位)に比べれば十分に大きいので、同じ形状が無限に続いていると考えて問題ありません。

 

フロッケの定理を活用しよう

 

「計算機のメモリが有限なんだから、無限の大きさを持つもののシミュレーションなんて出来ないよ」と考えた方がいると思います。筆者も思いました。

その問題を解決してくれるのが、フロッケの定理です。

フロッケの定理を簡単に説明すると『周期構造を持つ物体に対する電磁界成分は、同じように周期的になる』ということです。これは、1周期分の空間の電磁界が分かれば、他の空間の電磁界も分かるということです。

これより、無限周期回折格子に対する電磁界を知るには、回折格子1周期分をFDTD法で求めるだけで事足ります。理論上は、地球を一周するほど長い回折格子に対する電磁界も同じメモリ数で求められます。すごいですね。

2.フロッケの定理

 

シミュレーション結果を見てみよう

 

 図3のような無限周期回折格子に平面波を垂直入射したらどうなるでしょう? 本研究で使用しているプログラムを用いて調べてみます。その結果は図4になります。

4.解析結果

 

 図4は、図3における太線内の磁界Hzの振幅を表しています。黒線が回折格子の配置です。この図のx方向に無限に回折格子が続き、同じ波形の磁界が続いています。

 

筆者の研究について説明しましたが、どうですか? 「プログラミングなんて授業でしかやったことないし、こんな難しそうなこと無理だよ」と思いましたか?「こんなの楽勝だよ」と言う方は是非、本島研に入って活躍して下さい。でも、難しいと感じた方も悲観しないで下さい。本島研では、C言語ゼミで、4年生のプログラミング能力の向上をはかりますし、分からない所は、先生や先輩に聞けば教えてくれます。それに人間って、追い込まれれば意外と何とかしてしまうものです。だから、「自分には出来ない」と決め付けないで、興味を持ったのなら是非本島研に参加して下さい。