電波伝搬
研究者 川口 徹

FM放送などの超短波帯(VHF)は電離層を通過していくため、一般には直接波を用いることになるため、受信出来る範囲は限られている。しかし、たまに本来なら届かないところに電波が届くことがある。これを異常伝搬という。この異常伝搬には以下のような様々な現象が関係している。


〜電波伝搬に伴う諸現象〜

○ スポラディックE層(通称Eスポ)

須貝さんの説明でもあったように、電離層は下からD層、E層、F層と分かれており、この層は緯度・経度、昼夜、季節、太陽の活動状況などにより、密度、高さ、層の厚さがそれぞれ特徴的に変化している。
 この高度100km前後のE層とほぼ同じ高さの所に、電子密度が高く、極めて薄い層が突発的に形成されることがある。これをスポラディックE層(以後Eスポ)と呼ぶ。
 Eスポが何故発生するのかといったことはまだ詳しく解明されていないが、発生するといつもは電離層を通過していたVHF帯も反射され、1000〜2000km以上も遠くまで伝搬するようになる。
 Eスポは、日本付近では春から夏にかけて昼間に多く発生する。発生の分かりやすい例としては、NHKテレビなどで「気象の状況により一部地域で画像に乱れが生じています。」といった字幕が表示されたときはEスポが発生している可能性が高い。

○ フェージング(fading)

比較的遠距離で受信される信号は、その強さが絶えず変動している。この現象のことをフェ−ジング(fading)という。フェージングの変動周期はいろいろあり、普通は1秒以上数分以内のものが多い。種類としては、

  • 干渉性フェージング(interference fading)
  • 選択性フェージング(selective fading)
  • 偏波性フェージング(polarization fading)
  • 吸収性フェージング(absorption fading)
などがある。

○ 流星散乱(Meteor Scatter)

流星が高速で大気に突入したとき、電離したガスの柱がほぼその場に残り、これにより電波が散乱または反射する。Eスポなどと違い発生時間が短い。流星散乱によっての伝搬距離は上限が2000kmである。
流星散乱は大きく分けて2つあり、流星群による散乱と、散在流星による散乱に分けられる。例として、流星群による散乱は琴座流星群やペルセウス座流星群などがあり、散在流星は夏によく発生する確率が高い。



ほかにもまだまだたくさんの現象があり、それぞれが影響を及ぼし合い、異常伝搬が起きている。

また電波の伝搬ということで、多重波伝搬路や都市における電波伝搬などの勉強もしていきたいのですが、一番の目標としては須貝さんと異常伝搬(Eスポによるものであれば特に良い)を計測するというのが目標であります。