分布定数理論とFDTD法を用いた線状アンテナ放射解析
研究者 岩上 浩之

※FDTD法についてはほかの皆さんが述べられているので省略します。

私が現在行っている研究は、FDTD法を用いて数値計算を行う際に用いる入射波源の分布定数化です。ここでは例としてアンテナ解析について考えます。

従来のFDTD法によるアンテナ(波源)は、完全導体で構成されていて、完全導体内部の電界・磁界はゼロとして扱われています。またダイポール・アンテナの場合は、中心の電界Ezを給電点としてその中心軸に沿って電界をゼロとすることでアンテナのモデルとされてきました。図で簡単に表すと以下のようになります。


Fig.1 従来のアンテナモデル

しかし、実際のアンテナを考えると以上のような現象はとても矛盾していると考えられます。実際のアンテナには当然のことながら内部電流が発生しますし、特に高周波帯域に関しては集中定数理論で扱うことは難しいのです。

そこで登場するのが分布定数回路理論です。この理論を入射波源(アンテナやマイクロストリップ線など)に取り入れることで、より現実の波源に近い形でのシミュレーションが行えると考えています。以下の図は、その一例です。


Fig.2 分布定数回路理論の取り込み